
天井を知らないSFX技術の世界を大画面で堪能。やはり私は超大作映画が大好きなのだ。
惑星が一列に並ぶという2012年12月。その数年前から活発になってきた地球規模の地殻変動に、
科学者は警鐘を散々を鳴らしていたが、毎夜パーティに明け暮れる政治家は全く相手にしなかった。
太陽で超弩級のフレアが観測された。太陽フレアというのは、太陽の黒点部において大爆発を起こす現象で、その吹き上げる猛烈な炎のアーチは、地球が数十個は優に収まるという凄まじいもの。
そしてある日。人類がいまだかつてないほどの破滅的な災危は、あっけないほど突然にやって来た。
あわてふためく人びとをよそ目に、大国の長たちは、人類の種と動物の種を、破滅後の世界へと引き継ぐために、選別を始めていた。
優秀な科学者、統計によって優れた遺伝子を持つとされる人びと、莫大な富を持つ人びと、そしてコネ有りの人々が選ばれ、創世記に記された有名な"ノアの方舟"ならぬ、最新鋭の巨大な乗り物(中国が持ち前の中華パワーとイケイケドンドンで開発した)に搭乗する手配が始まった。
残された数十億の人びとは、どうなるのか、というと、もうどうにもならない、アメリカ大統領が、「我々はあなたたちを救うことが出来ない。勇気を持って暗黒の世界へ踏み出すのだ」なんて、演説をしたりする。こりゃもうダメだ。そして自然の変動は、人類を、たとえば道ばたの小石の陰で腐った苔をはんでいるちっぽけなゲジゲジと等しく、容赦なく、そしてまんべんなく襲いかかる。
大地が割れマグマが吹き出し、何百メートルも隆起した地面の上から、砂が払われるように、大都市のありとあらゆる物が一掃される。何キロもの高さの津波が、インドやヒマラヤ山脈を覆い、キリスト教の聖地、バチカンのサン・ピエトロ大聖堂が、数万人の信者もろとも、一瞬にして崩壊する。
この映画を観ていて、思ったのは、もはや最新SFXがすごいとだけでは表現できない、圧縮されたダイナミックさで、観客の度肝を抜いてやろうという製作者の意図がひしひしと伝わってきたことだ。
ディザスタ・ムービーといえば、大地震、大津波、森林大火災、感染病、ある程度の地域の枠の中で、いかに生き残るかがテーマとしてあった。だが、本作は、地球の陸地部分が、あっという間にすっかり変わってしまうほどの規模であり、例えれば、古物市で見つけた、広くて古い絨毯をパッと広げたときに、光に反射して舞い散る無数の塵に似ている。もちろん塵は地上のあらゆる物質だ。
「2012」は各国のお国柄を、時に皮肉っぽく時にユーモラスに描いているのも面白い。
アメリカの2倍の国土を持つロシアは、唖然とするほど巨大な貨物輸送機アントノフを見せる。ロシア人の大金持ちと主人公一家が、これに乗って避難しようとするのだけれど、台詞が効いている。主人公の息子(アメリカ人)が、アントノフの機体を拝み思わず、「でかいっ」とつぶやいて口をぽかんと開けていると、大金持ちのロシア人曰く「でかいだろ?ロシアだからな」と笑いを誘う。急ピッチで進められた中国製の方舟の威容を見た、アメリカ人が思わず感嘆して、「さすが中国だ。やることが早い!」。クスクス笑いがあちこちで起きる。
さて、我が日本は、ソニーピクチャーズの映画だからして、いやというほどソニー製品が登場するのだけれど、残念ながら国土の方はあっという間さえなく沈没してしまったようだ。
キャストでは、イかれたヒッピーのDJを演じた、ウディ・ハレルソン(キャスティングを見るまで気づかなかった~)、ロシア人の大金持ち役、久しぶりのタンディ・ニュートンが良かった。SFXはディテールのこだわりが凄まじい。崩れゆく超高層ビルからは、人がパラパラと落下し、突き出た鉄筋にぶら下がっていたり、横なぐりの大波を受け、今まさに転覆しようとする豪華客船全体を見せる場面では、船内の乗客を含め、ありとあらゆるものが雪崩を打って、船の転覆方向へと落下する。地上が崩壊していく場面は、もうどこへ目をやれば良いのか、パシパシと瞬きをしてしまうほど。
そして、選ばれた人類を乗せた方舟(ノアの方舟にも似ている)の質感が素晴らしい。
私はこれを見て、「宇宙戦艦ヤマト」実写版は、ぜひ、あなた方の技術でと思わずにはいられなかった。
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